前にシンガポールで子どもを病院に連れて行った話をしました:
ただでさえ行きたくない病院。
海外でとなると、ちょっとやそっとの痛みや苦しみなら、ガマンしてしまいたくなります。
が、そうそう無理がきかない時もある。
このシンガポールの他にもう一度、私が海外で病院へ行ったことがありました。
それは、バンコクでうちの妻を連れて行った時のことでした。
この時は診察だけでなく、入院ということになってしまったので、
かなり大変でした。
が、その分、それまで見たことのなかった世界、
得たことのない経験もできました。
費用がいくらくらいかかるかも。
「海外の病院」という世界をのぞき見できるチャンス
妻と二人の旅行で、東南アジアを回っていたときのこと。
台湾一周を終えて到着したバンコクの空港から、
市内まで市バスで行こうと思いつきました。
これがいけませんでしたね💧
乗り込んだ瞬間に市バスに急発進。
私は何とか踏み止まりましたが、妻は踏ん張りがきかず、
足をひねってしまったのです。
外国の、特に東南アジアのバスは、日本より運転が激しいです。
急発進・急停車はよくあることです。
ただ、こちらは何といっても移動中。
大きな荷物を抱えていたのが命取りでした。
バスを降りてからも、足の痛みが続きます。
その日は何とか休みましたが、翌日になっても痛みが引かないので、
観念して、保険会社に紹介された病院へ行きました。
大きな、立派な病院でした。
すると、「これはいけない」ということで、
ひざの手術をすることになってしまいました。
術後3日間は入院です。
本人(と私)がそれ聞いてビックリという感じでした。
ただでさえ、入院というと不安です。
日本にいても、そうそう滅多にないことです。
それが外国となると、
勝手のわからない不安もあります。
何よりやはり、言葉の不安です。
が、その大病院にはちゃんと日本語通訳のスタッフがいて、
言葉の面で問題はほとんどありませんでした。
バンコクというと、旅行者であふれている街です。
日本人旅行者もたくさん来ています。
この病院にしてみたら、日本人は得意客なんですね。
こう言うと何なのですが、
むしろ妻は入院生活を楽しんでいました。
とにかく高級な病院だったのです。
患者さんはほとんど外国人。
たまに地元の人もいますが、みんなお金持ちそうな人ばっかりで。
ドクターも看護師さんも、みなさんいかにもエリートっぽい、
能力の高そうな人ばかりでした。
その能力の高さには、「海外で不安な患者をリラックスさせる」という力量も入っていて、
まあにこやかで愛想のいいスタッフに囲まれた治療生活を送っていましたね。
病院というとマズいと決まっている食事が、
なんと美味しいのです。
私、単なる付き添いで関係ないのですが、
ちょくちょくつまみ食いをさせてもらっていました。
何もかもが、とにかく至れり尽くせり。何もかもが、とにかく至れり尽くせり。
こんなハイソな治療生活、庶民の私たちには、とてもじゃないけど手の届かない世界です。
こうして海外にでも来ない限りは。
妻は相部屋になったオマーン人の女の子とメールアドレスを交換していました。
(ムスリム女性ということもあってか、私と言葉を交わすことはありませんでした)
もう一人同じ部屋にいたインドネシア人のおばちゃんは、
バリから来た人だそうですが、ちょっとしんどそうにしていました。
私、バンコクは何度も来たことがありましたが、
こういう世界は初めてでしたね。
すっかりリフレッシュして、めでたく退院のあかつきには、
これはどこの世界も同じ、お会計です。
もっとも私たちの場合は、保険屋さんから話が通ってますから、
支払いは一切ありません。
旅行保険というと、領収書をもらってきて、
帰ってきてから保険屋さんに請求を出すというイメージがあるかもしれません。
が、最初から保険屋さんを通じて紹介された病院なら、
たいていは立て替える必要すらありません。
サイン一つでチェックアウトできます。
ただ、自腹は切らないとわかってはいても、
やっぱり気になるのがお値段というものです。
サインをする書面に、治療費の合計が出ていました。
20万バーツでした。
約60万円です。
保険入っててよかった…の一言ですね😌
タイの通貨はタイバーツ。
1バーツは約3円です。
が、これは日本人感覚の話。
私の見たところ、現地の人は10バーツのコインを、
日本人が日本で使う100円玉のような金銭感覚で使っています。
レート的には30円相当の10バーツが、ほぼ100円玉に当たる世界。
つまり、20万バーツの治療費は…
現地の物価水準でいくと、
200万円くらい!
そりゃハイソだわ…
私たち、このバンコクの後はシンガポールまで南下して、
香港に寄って帰国する予定でした。
ドクターは「大丈夫大丈夫。旅行を楽しみなさい」と言ってくれました。
が、困るのは、退院する妻が持たされている松葉杖です。
退院はしたものの、これがないと歩けないのです。
「これ、どうしたらいいでしょう? 日本に帰るまでお借りしていてもいいですか? 帰ったら送り返しますので」
と聞くと、ドクターは「何を言うてるのかな」というような顔でおっしゃいました。
「あ、いいよいいよ、それは差し上げますから」
お買い上げだったのですね。
これも20万バーツの中に入ってたわけです。
旅行保険には、必ず入らなくてはいけません。