ワーク・ライフ・バランスの怖いところ

私は「ワーク・ライフ・バランス」(以下WLB)推進のお仕事もしています。

WLBという言葉、
社会人の方は職場で耳にする機会もあるでしょうし、
学生さんなら就活の中で
まずまちがいなく出会う言葉になっています。

このWLB、

「早く家に帰れそう」✨
「休みが増えるんでしょ」✨✨

とか、

働く者にとって割と都合のいい考え方だと理解されがちです。

結果だけ見れば、「労働時間が減る」というのは確かにそのとおりです。
ただ、これは一つの結果にすぎません。

私はWLBの勉強を重ねるにつれて、
「こいつは怖い考え方でもあるな」
と感じ始めています。

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「ワーク・ライフ・バランス」の本当の意味

WLBというと、

「ワーク」と「ライフ」という相反する二つのものがあって、
その折り合いをどうつけていくのか?

という議論だと理解される場合が多い。

balance(てんびん)という言葉の感じからも、
そういう理解が広まるのはやむを得ないところです。

ただ、これは誤解です。

仕事(ワーク)というのも、
人生(ライフ)に含まれる一つの部分だからです。

会社はなぜワーク・ライフ・バランスを求めるのか

ここだけはわかってもらいたいところですが、

会社が「WLBの推進!」をうたう一番の狙いは
社員のプライベートの充実(だけ)ではありません。

しっかり休養して、
オフの時間にもいろいろと有益な経験や刺激を得て、

その成果を仕事に活かして欲しい!

というところを狙っているからこそ、
WLBという考え方が、これだけ社会に広まっているわけです。

このことは、WLBを推進する立場の人間が
経営者向けによく使う口説き文句

「WLBは福利厚生のための取り組みではなく、経営戦略ですよ」

という一言に集約されています。

会社が元気で、長く続くことは、
そこに働く従業員にとって、大きな幸せです。
それは忘れてなりません。

ただ、裏を返せば、
「オフの時間で得られた成果を仕事に返せない人間は、要らない」
という意味にもなる。

いまは政府の方でも、
「雇用の流動化」という名のもとに
ある意味、
従業員の首を切りやすくする制度づくりを進めようとしてます。

世界的に見て、
日本ほど会社が社員の首を切りにくい国はないからです。

仕事だけできる人間は、要らない人材

これまでの日本では、
仕事の世界の中で、
仕事だけ、
バリバリできてたら
会社は認めてくれていました。

ただ、これからは、

仕事以外の生活、
もっと言えば「生きざま」の充実
会社が求めてくるようにーー

なり得るわけです。

仕事の質を高めるために。

旅行へ行ったり、
仕事関係以外の人と会ったり話したり、
また、
男性も家事や子育てを積極的にやることで、

新しい気づきや、
斬新なアイデア、
ひらめきが生まれる。

「それを仕事に活かせ」という図式です。

いまの社会はかなり行き詰ってますから、
そういう「イノベーション」だとか
「ブレイクスルー」だとかいう
これまでの道筋をガラリ塗り替える新しいものが生まれないと、
立ち行かない。

それを会社にもたらしてくれような社員じゃないと、
給料を払う価値がないわけです。

この意味で、
仕事以外の世界をほとんど知らない昭和の企業戦士なんかは、
ほぼ全員失格です。

社外の知恵や経験を取り入れられない人の仕事っていうのは、
近い将来、ロボットに取って代わられてしまうからです。

人間でなければできない仕事しか、
人間には与えられない時代が来ます。

ロボットに生きざまはない。
人間にだけ、あるものです。

これからあなたの職場は、

「もっと早く帰りなさい」
「もっと休みを取りなさい」

と、今後ますます、あなたにささやきかけてくるでしょう。

そのささやきの底にある意味を
しっかり了解しておかなければ、

えらいことになります。

WLBに人生を奪われないために

私、WLBって基本的には賛成です。

男だからって育児や家族に関わらなかったり、
過労で体調を崩したり、命を落としたりするのは論外です。

そんなの人間の生き方じゃないと思う。

でも、会社が従業員の生きざまを
「必要」として求めてくる構図っていうのは、
ちょっと怖いなあと思うのです。

そこを怖がらなくてもいいように、
私たち、これからの個人には、

  • 自分の人生を自分の手で組み立てる意識を持つこと
  • 日々、人生の質を高める活動を怠らないこと
  • これらを自分の楽しみと重ね合わせながら続けていくこと

が欠かせません。

逆にいうと、これさえできていれば、

  • 毎日の暮らしが楽しくて仕方なくなる
  • 会社はあなたを高く評価し、高い給料を払ってくれる

という、実に都合のいい好循環が生まれます!

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